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ダイヤモンドとデビアス

19世紀 セシル・ローズにより創設されたデ・ビアス社は、当時全世界のダイヤモンド産出量の、90%を独占する企業に成長しました。しかし、ローズの死後、壊滅的な打撃を受けるほどの大規模な、新しい鉱山が発見され、一時は全産出量の40%にまで落ち込みました。

しかし、その危機を救い、近代的ダイヤモンド産業の基盤を創ったのが、ドイツ系ユダヤ人アーネスト・オッペンハイマーです。彼はダイヤモンドの価格を安定させるためには、独占体制が不可欠と考え次々と組織を立ち上げ、ダイヤモンド原石の採掘から販売まで、すべてをコントロールする独占体制を確立させたのです。

アーネスト・オッペンハイマーの登場

ドイツ系ユダヤ人であるアーネスト・オッペンハイマーは、16才の時から、ロンドン有数のダイヤモンド会社、A・ドンケルスビューラーで働き始め、22才の時に会社は彼を南アフリカに派遣しました。
その後、オッペンハイマーはキンバリー鉱山で、15年にわたってダイヤモンド選別の仕事に従事していました。1917年、オッペンハイマーは金鉱経営のためアメリカ資本を導入し、南アフリカ・アングロ・アメリカン・コーポレーションを設立しました。
第一次世界大戦後の1919年、同社はドイツ領南西アフリカのダイヤモンド鉱床の独占権を獲得し、短期間のうちに、南アフリカのダイヤモンドの20%を生産するまでになりました。
この大量のダイヤモンドを引っさげてオッペンハイマーは、1926年にはデ・ビアス社の役員となり、1930年には会長の椅子を獲得しました。

オッペンハイマーは、ダイヤモンドの価格を安定させるためには独占体制の強化が不可欠であると考えました。そして、ダイヤモンド・コーポレーション、ダイヤモンド・プロデューサーズ・アソシエーション、ダイヤモンド・トレーディング・カンパニーを次々と立ち上げ、これらの会社を統合する組織として1931年、中央販売機構 (CSO) を設立しました。

こうして、巨額の資金調達を成功させて、ダイヤモンド原石の生産と販売の全てを、デ・ビアス社が一手にコントロールする独占体制が確立しました。
このCSOの独占体制によって、1930年代の世界恐慌の時代にも、ダイヤモンドの価格は暴落を免れました。さらに第二次世界大戦中には、軍事物資としての重要性から、その価値は一層重みが増し、デ・ビアスに空前の利益をもたらしました。

1957年、アーネスト・オッペンハイマーが死んだ後も、その独占体制は21世紀の今日まで、確固として継承されています。

中央販売機構 (CSO)

現在、CSOは「ダイヤモンド・コーポレーション」「ダイヤモンド・プロデューサーズ・アソシエイション」「ダイヤモンド・トレーディング・カンパニー」「インダストリアル・ディストリビューターズ」「ダイヤモンド・パーチェシング・アンド・トレーディング」等によって構成されています。

全産出量の4分の3の工業用ダイヤモンドは、「インダストリアル・ディストリビューター」によって一手に販売されます。一方、総量の4分の1に過ぎない宝石用ダイヤモンドは、「ダイヤモンド・コーポレーション」「ダイヤモンド・パーチェシング・アンド・トレーディング」「ダイヤモンド・トレーディング」を通じ、デ・ビアス独自の「サイト」と呼ばれる販売方法によって売りさばかれます。

宝石用原石は、ダイヤモンド・パーチェシング・アンド・トレーディング社によって、その重量、色、透明度、形状にしたがって250種類に分類されます。分類された原石は、そのときどきの需給状況に応じて組み合わされ、サイトを通じてサイト・ホルダー(メンバー)に売り渡されます。

サイトとサイト・ホルダー

サイト・ホルダーになる資格は、世界のダイヤモンド業界の中で、資産状況、経営状態、経営姿勢、血統 (ユダヤ人が優遇される)、業界に対する貢献度 (デ・ビアス社に対する協力度) 等によって、デ・ビアス社が一方的に選びます。通常、欧米の主要なダイヤモンド商や、研磨業者が選ばれています。
1970年代後半から、1980年代初めに起こったダイヤモンド・バブルとその崩壊後、350社ほどあったサイト・ホルダーは、100社程度にまで厳選され現在にいたっています。バブル崩壊によって倒産に追い込まれたサイト・ホルダーもありましたが、デ・ビアス社の経営方針にそぐわない業者は、サイトに出る資格を剥奪されるのです。

一年間10回行われるサイトは、一回あたり4日から5日間ロンドンで開かれます。デ・ビアス社は有力ブローカーを通じて、サイト・ホルダーからの購入希望を集めます。その情報に基づいて、現在のダイヤモンド市場の分析を行います。
デ・ビアス社はサイト・ホルダーごとに原石の割り当てを行い、サイトの期間中ロンドンに彼らを招待し、原石を見せます。

このとき、サイト・ホルダーは原石や価格が希望通りでなくても、異議を唱えることはできません。
"All or Nothing"(<オール オア ナッシング> 「すべてかゼロか」 )と呼ばれる原則は、サイト取引での掟です。一回あたりのサイト・ホルダーの割り当て額は、平均100万ドル〜150万ドルです。

サイトで原石のチェックと買い付け承認が終わると、サイト・ホルダーからデ・ビアス社に買い付け代金が支払われ、その後、原石の入った封筒が納められたボール紙製の箱が、それぞれのサイト・ホルダーに送り届けられます。
デ・ビアス社が管理運営するサイトと、それに参加するサイト・ホルダーを監視することによって、
ダイヤモンド市場の需給バランスが保たれています。この価格カルテルとも呼べる閉鎖的な仕組みによって、全世界のダイヤモンド価格は安定しているのです。

狭い世界

世界各地に広がるダイヤモンド。その世界は以外にも「デビアス社」によってバランスが保たれているのです。
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